先天性心疾患を持って生きる

先天性心疾患で生まれたベルーガの個人的人生記録

帰り道

次に覚えているシーンは、病棟帰りのエレベーターの中だった。

その時、先生に、

「人工呼吸器がついているから、がんばって息をしなくていいんだよ」

と言われた。

そこで、思い切って、先生に言われたとおりに息を止めてみたら、息ができた。

「そうそう、それでいい」

と言われた。

隣には親もいた。

次に目覚めたのは、ICU のベッドだった。

ドレインという、余分な体液を排出する管や、点滴の管がたくさんつながれた状態ながらも、無事に ICU に帰ってくることができたのだ。

 

そこで、初めて母に話しかけられた。

「無事に終わって良かったね。今日はそろそろ帰るね」

そうして、父と母は帰っていき、僕の手術の日は終わった。

と言っても、その時が何時だったのかは分からないが…。