人工呼吸器を抜くとき
次に覚えているのは、人工呼吸器をはずす時だ。
ある日、自分で息ができるようになってきてるから、人工呼吸器をはずそうか、と看護婦さんに言われた。
そして、看護婦さんは、鼻から奥に差し込まれていた管をゆっくりと引き抜き始めた…。
が、痛いのだ。
耳鼻科に行くと、薬を塗ったり鼻汁を排出したりするために、鼻の穴に棒を入れられることがあるが、これを経験したことのある人は多いだろう。
あれは結構痛い。
子どもの時はベソをかいてしまっていたほどだ。
そして、人工呼吸器の管は、あの棒がさらに奥まで入れられているようなものなのだ。
引き抜くときは、それを特に感じる。
しかも、看護婦さんがゆっくりと引き抜くものだから、痛みの時間が長引くのだ。
僕は、慌てて、自分で管をつかんでさっさと引き抜いてしまった。
これが、ICU での思い出の2つ目である。