先天性心疾患を持って生きる

先天性心疾患で生まれたベルーガの個人的人生記録

重症の子

そして、その子は口が悪かった。

小児病院の看護婦さん(今は、看護師と呼ぶのが普通らしいが、当時は「看護婦さん」と呼んでいたので、このブログでも、その呼称を使わせてもらいます)に、トダさん(漢字はわかりません)という人がいた。

その子は、トダさんのことを呼び捨てにして、指図していた。

「トダ! ~~取れ!」のように…。

よく看護婦さんにそんな口が利けるものだと、その時は思った。

今思い返してみると、その子は唇を真っ黒にしながら、トダさんを呼びつけて面白がっていた。

ひどいチアノーゼだったんだ。

 

その子はしばらくしてから退院していった。

その後、その子がどうなったかは分からない。

 

ただ、後年、大人になってから、似たような感じの女性に出会った。

心臓病の患者会で。

 

しかし、その女性は、今、帰らぬ人になってしまった。

緊急手術をしたあの子と、後年出会ったその女性が同じ人だったのかは分からない。

そもそも、あの子の名前も覚えていないし、同じような病状の人はたくさんいるのだ。

永遠にわからないで終わってしまった…。